タガメ・ミズカマキリのなかま

カメムシ目(半翅目) Hemiptera

タガメ
学名:Lethocerus deyrollei
コオイムシ科

成虫の体長48〜65ミリ。池沼
や水田地帯にすむ。春から夏
にかけて産卵し幼虫は2ヶ月ほ
どで成虫になる。雌が産んだ卵
を、雄は孵化するまで世話をす
る習性を持つ。全国的に分布し
ているが、近年各地で減少傾
向にある。
オオコオイムシ
学名:Diplonychus major
コオイムシ科

成虫の体長23〜26ミリ。池沼
や水田地帯にすむ。春から夏
にかけて産卵し幼虫は2ヶ月ほ
どで成虫になる。雌が雄の背
中に卵を産み、雄は孵化する
まで世話をする習性を持つ。コ
オイムシとよく似ているが、体
はより大きい(コオイムシは体
長17〜20ミリ)。
ミズカマキリ
学名:Ranatra chinensis
タイコウチ科

成虫の体長40〜50ミリ。池沼
や水田地帯にすむ。春から夏
にかけて産卵し幼虫は2ヶ月ほ
どで成虫になる。長い呼吸管を
持ち、比較的深いところでも生
活できる。
タイコウチ
学名:Laccotrephes japonensis
タイコウチ科

成虫の体長30〜38ミリ。池沼
や水田地帯にすむ。春から夏
にかけて産卵し幼虫は2ヶ月ほ
どで成虫になる。和名の由来
は,前足の動きが太鼓を打つ
様に似ていることによる。
ヒメタイコウチ
学名:Nepa hoffmanni
タイコウチ科

成虫の体長18〜22ミリ。春に
産卵し幼虫は2〜3ヶ月で成虫
になる。湧水のある湿地帯に
すむ。水の中にはあまり入らず
水際の湿った場所にすんでい
る。
ナベブタムシ
学名:Aphelocheirus vittatus
ナベブタムシ科

成虫の体長8〜11ミリ。河川の
上流から中流にかけて生息す
る。春から夏に産卵し、幼虫は
約1年かけて成虫になる。成虫
は最大で2年ほど生きる。

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一柳 英隆 nagi_h@d9.dion.ne.jp
カメムシ目(半翅目Hemiptera)は大顎と小顎が針のような口吻になっている昆虫の一群で、大きく二つのグループ(亜目)に分けられます。一つは、セミやヨコバイ、ウンカなどを代表とし、前翅も後翅も膜状、口吻を前に伸ばすことができないヨコバイ亜目(同翅亜目Homoptera)です。もう一つは、カメムシを代表とし、前翅の根元が堅く(前翅の先や後翅は膜状)、口吻を前に伸ばすことができるカメムシ亜目(異翅亜目Heteroptera)です。水生または半水生であるものはすべて後者です。カメムシ亜目は世界でおよそ3万9千種(日本ではおよそ920種)が知られていますが、そのうちおよそ3千800種(日本ではおよそ130種)が、水際や水表面、水中など、水がある環境に依存して生活しています。 水生カメムシ類の生息場所は河川・湖沼・海の水中・水面・水際など多岐にわたります。産卵は普通、春から夏に行われ、卵は水底の礫などの基質表面、水草の組織中、水際の湿った場所などに産みつけられます。孵化した幼虫は5令(まれに4令)の幼虫期を経て数週間から1年で成虫となります。成虫の寿命は数週間から数年です。幼虫と成虫は、食性、生活様式、生息場所も類似していて、大部分の水生・半水生カメムシ類は捕食性で、他の昆虫や魚などを捕らえて吸汁します。ただし、ミズムシ科の一部は植食性です。 また、水生カメムシ類では、同一種内、同一個体群内でも成虫になったときの翅の長さに変異があることがしばしばあります。翅の長いものを長翅型、翅の短いものを短翅型、翅の無いものを無翅型といいます。翅型の決定には、幼虫のときの温度や日長、同種の密度、えさの量や質などが影響します。ただし、どのくらいになったら長翅型になって、どのくらいなったら短翅型になるか、などに関しては種間・個体群間・個体間で変異があります。