ハエの仲間


ハエ目(双翅目)
学名:Diptera

動物の種類の70%は昆虫。そのなかで,甲虫類(鞘翅目),チョウ目(鱗翅目)とならんで大きなグループがこのハエ目です。 今知られている昆虫100万種のうちの10%,10万種を占めるといわれますが, 甲虫目やチョウ目よりも顕微鏡的に小さくて目立たない種類が多いので分類が遅れていて, どれくらいの種類がいるかは,本当のところ誰も見当がつきません。
ハエ目は別名「双翅目」といわれるとおり,前翅しかなく後翅は平均棍(へいきんこん)といって小さな棒のようなものになっているのが共通点です。 口は,カやハナアブのように血や花の蜜を吸う口,ハエのようになめる口,ユスリカのように退化してものを食べない口などさまざまです。 ハエ目は,カ亜目(糸角亜目)とハエ亜目(短角亜目)に二分されます。前者は触角が糸のように細長く,後者は短いのでこう呼ばれます。 前者にはカをはじめ,ユスリカ,ブユ,ガガンボなどが,後者にはイエバエ,ハナアブ,ショウジョウバエなどが含まれます。 これらの名まえはすべて「科」の呼び名です。それぞれの科の中に分類の単位である多数の「種」が含まれています。 たとえばユスリカ科に限っても,現在,世界では約1万種,日本でも1千種ほどが知られていて,世界中で新種の発見,記載が続いています。 ユスリカ科は大洋以外の地球上のあらゆる環境に適応して棲息範囲を拡大するのに成功したグループで,南極のような厳しい環境にも, 翅のある昆虫として2種類のユスリカだけが知られています。幼虫が水生の種類も多く,魚の餌としても重要な資源になっています。

ハエ目に関するご質問はこちらへ 小林 貞 tadkoba@k.email.ne.jp